芭蕉db
   十三日は住吉の市に詣でて

升買うて分別替る月見哉

(住吉物語)

(ますこうて ふんべつかわる つきみかな)

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 元禄7年9月13日。この日、芭蕉は大坂住吉神社「宝の市」 (「升の市」ともいう)に詣でた。ここで、この祭の名物である「升」を購入。この夜は、長谷川畦止亭で十三夜の月見を予定していたが、ここで容体悪化して断念。正秀宛書簡参照なお、升の市に賑わいは、西山宗因も「住吉の市大夫どのいざやいざや」と詠んだという。

升買うて分別替る月見哉

 死の1ヶ月前にあたるこの日、芭蕉の体調は相当に悪かった。本当は、分別が出てきて月見に行かなかったのではない。具合が悪くて行けなかったのである。 しかし、翌14日は小康を得て畦止亭での句会に参加。一句はその折の発句として掲出された。約束を破った言い訳でもあり、芭蕉の健康を気遣う人々へのから元気の表現のようでもある。
 脇は畦止で「秋のあらしに魚荷つれだつ」だった。


三重県上野市丸の内上野市役所前庭の句碑(牛久市森田武さん撮影)