芭蕉db

ひごろ憎き烏も雪の朝哉

(俳諧薦獅子集)

(ひごろにくき からすもゆきの あしたかな)

   今朝東雲のころ、木曽寺の鐘
   の音枕に響き、起きいでて見
   れば、白妙の花の木に咲きて
   おもしろく

つね憎き烏も雪のあした哉

(真蹟自画賛)

(つねにくき からすもゆきの あしたかな)

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 元禄4年、(ただし、「薦獅子集」では元禄5年とする)。48歳。前詞を信ずれば大津義仲寺(木曽寺)での作。

ひごろ憎き烏も雪の朝哉

 雪の朝はみな新鮮で、そんな折には普段は薄汚いと敬遠しているカラスでさえも雪に映って、普段と違う感慨をもよおすから不思議なものだ。カラスが憎まれ者だというのは、今も昔も変わらない。
 他にカラスの句は、「枯枝に烏のとまりたるや秋の暮」,「何にこの師走の市にゆく烏」などがある。