芭蕉db

入りかかる日も糸遊の名残かな

(初茄子)

(いりかかる ひもいとゆうの なごりかな)

入りかかる日もほどほどに春の暮

曾良書留)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 元禄2年。『奥の細道』旅中の室の八島での作。ここでは、同じく「糸遊に結びつきたる煙哉」の作がある。

入りかかる日も糸遊の名残かな

 「糸遊」は陽炎のこと。「糸」と「日も=紐」の縁語になっている。山の端に消えようとしている太陽、か細くなった陽炎、この太陽と陽炎の結びつきの名残のように晩春の夕暮れが近づいてくる。