芭蕉db

雑水に琵琶聴く軒の霰かな

(有磯海)

(ぞうすいに びわきくのきの あられかな)

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 貞亨元年(41歳頃)頃から死の元禄7年(51歳)までの間。作風から後期のもので江戸深川時代のものらしい。
 なお、この時期の制作年次不明のものとして、58句がある。

雑水に琵琶聴く軒の霰かな

 雑水は雑炊のこと。大根の葉や菜っ葉などを入れたかゆのこと。ダイエット尊重の現代と違って雑炊は貧しい人の貧しい食事。その雑炊を食べているとき、霰が降ってきた。それが屋根に当って激しい音をたてている。それを聞いているとまるで琵琶の激しいつま弾きのように聞こえてくる。
 なんともさみしい独居の情景。
 類似の作品に「琵琶行の夜や三味線の音霰」がある。