芭蕉db
   新宅

よき家や雀よろこぶ背戸の粟

(俳諧千鳥掛)

(よきいえや すずめよろこぶ せどのあわ)

   花も紅葉もなき浦の苫屋の秋
   に品かはりて

よき家や雀よろこぶ背戸の秋

(真蹟自画賛)

 

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 貞亨元年7月8日。鳴海の知足の弟・下里三郎右衛門の新築祝いに。

よき家や雀よろこぶ背戸の粟

 『野ざらし紀行』の旅の途次、鳴海の知足の弟三郎右衛門の新宅を訪れての挨拶吟。これを発句として歌仙を巻いた。背戸<せど>は家の裏手・裏口を言う。よい家だと誉めておいて、その理由を裏庭の粟のたわわに実っている様とそこに集まって実をついばんでいる雀達の喜々とした騒ぎを挙げる。暖かい一句。
 脇を知足がつけて、「まぐさに見ゆる野菊苅萱<かるかや>」。