2001/06/22 環境社会学#095.歴史的環境保全の運動歴史的環境保全とは・歴史的な遺跡・建物や街並みを保存しようという取り組み・公害や自然破壊と並ぶ環境問題の主要課題としてとらえられてきている 環境問題の広がり(図)日本における歴史的環境保全・古くは,信仰の力を借りて保全:例=吉野山の桜…「神木」・近代以降,法律によって保全:「古社寺保存法」(1897年),「史蹟名勝天然記念物保存法」(1919年) ・第1次歴史的環境保全運動 ・1960年代後半〜 ・地域開発に反対する住民運動として 例:奈良県庁舎建て替え計画(1963),京都タワー建設問題(1964), 鎌倉市・鶴ヶ丘八幡宮裏山の宅地造成計画問題(1964)など ・第2次歴史的環境保全運動 ・1980年代〜 ・身近な歴史的建造物の保全運動:それほど歴史的に古くないものを保全しようと する点に特徴; ・明治・大正期に建てられた西洋建築や橋梁,港湾施設,江戸末期の旅籠など ・「文化財の保護」の対象になるほどに値打ちがあると見なされなかったため, 運動となった ・生活に密着したもの=生活の安らぎ・うるおい・アクセント; 「魅力ある地域作り」 事例:沖縄県竹富島(石垣島を中心とする八重山諸島のひとつ)・町並みの特徴 ・赤瓦の屋根,シーサー ・珊瑚石の石垣 ・白砂の道 ・重要伝統的建造物群保存地区 …町そのものが文化財 ・変わらないのでなく,どんどん新しく,きれいに,動いていることに気づいた ・赤瓦の屋根は20世紀に入ってから ⇔1960年代には半分がまだ茅葺きであった ・本土復帰(1972年)前後の社会状況 ・島の土地をリゾート開発のために外部資本が買い占める動き →反対運動=成功 →島の生活,風土,環境,歴史,文化に人びとが目を向け始めた ・上勢頭芳徳氏の話 ・第1世代の苦労:賛否両論 立て看板,プラカード,シュプレヒコールまで ・第2世代:マスコミが後押ししてくれた →軌道に→さらに行政も協力 ・竹富の人は伝統文化を大事にしていこうという気持ちを持っている ・種とり祭:昭和52年に「重要無形民俗文化財」に指定 ・木造瓦葺きの家が補助金で建て替えができる ・観光資源 ・現在生きている人の生活と古いものを残すことの対立 ・竹富の場合,町並み保全の運動が自分たちの生活を守る運動として始まったことに意味がある |