消費者行動論  2000/11/24

★ゲスト講師のお知らせ★

12月15日の授業(年内最後)は
ゲスト講師に来ていただきます。

■講師■
代永まつ子氏(山梨県消費生活センター)

■内容■
食生活と消費者問題について

★補講のお知らせ★

2001年2月2日
補講します
※参考:後期試験:2/5〜9
http://mail.yamanashi-ken.ac.jp/~minoura/


2.消費者の知覚

※知覚=心理学用語;
    外界の情報を五感を通じて入手し,意味づけすること
※ここでは特にマーケティング情報の知覚を扱う

▼知覚と情報処理過程


▼接触過程
・接触の選択的性質
  人は接触する刺激(*)のすべてを受容するわけではない。
  →接触の回避;例:テレビCM,ダイレクトメール

*刺激:心理学用語。人間の行動を,外界の刺激に対する反応として捉える。
▼注意過程
・刺激要因
  ・物理的特性:大きさ,色,音,動きなど
  ・認知的特性:孤立,対比,情報量など
  ・情緒的特性:子ども,動物,女性モデルなど
・個人要因
  個人的な興味,価値観,ニーズなどが注意に影響を与える
・環境要因
  時間の余裕,気候の快不快など

▼解釈過程
解釈=刺激に意味を割り当てること
・自動処理
  ・見慣れた刺激→自動的に処理
  ・見慣れない刺激→注意を働かせ意識的に処理
・理解レベル
  ・同じ商品を見ても理解のレベルによって受け取る意味が
   異なる
  ・深く理解された商品は,より強く記憶される

--------(※前回ここまで)--------

▼知覚とマーケティング戦略
※復習(10/20)
●マーケティング・ミックス(4P)の構築
(1) 製品 product
(2) 価格 price
(3) 流通 place
(4) 販売促進 promotion

・製品
  ・ブランド・イメージ
    ・ブランドについての知覚の総合されたもの
    ・購買行動の基準となる
    →ブランド戦略:
      競合するブランド間でどのような位置をとるか
  ・ブランドネーム,ロゴ,パッケージデザイン,広告
    =商品解釈に影響を与える

・価格
  ・端数価格:数字から受ける印象をもとに価格設定
  ・威光価格:高い価格設定→高品質・ステータスのイメージ
  ・慣習価格:固定化して,価格で判断されない
        例:清涼飲料水

・流通
  小売業者:消費者の情報との接触に工夫
   例:陳列棚のレイアウト,商品ごとの陳列場所

・販売促進
  接触を増やし注意を向けさせるためにさまざまな工夫
  ・メディア戦略
    ・ランダムな接触を増やす戦略
    ・ターゲットを絞った戦略



3.消費者の動機づけ

▼欲求(ニーズ)の階層構造
・マズロー(1970)による整理
 (1) 生理的欲求 physiological needs
    生理的自己の維持;食欲など
 (2) 安全欲求 safety-security needs
    苦痛・恐怖・不安・危険などを避け,安定を求める
    見慣れたものを求める欲求も含まれる
 (3) 所属と愛の欲求 belongingness-love needs
   (または 社会的欲求 social needs
    他者との友好・愛情関係や集団への所属を求める
 (4) 自尊欲求 esteem needs
    自己に対する高い評価を求める
    業績,技能,資格,自信,評判,注目などへの欲求
 (5) 自己実現欲求 self-actualization needs
    自己の成長や発展の機会を求める
    この欲求だけは,満足されるとさらに欲求が強まる

・消費者行動との関連
  現代の消費パターンの多様化
  =自尊欲求や自己実現欲求の高まりの現れ

▼購買動機の要因
・必要条件
  ・購入にあたって最低限求める品質
・魅力条件
  ・品質とは無関係に満たしていて欲しい思う条件

▼モチベーション・リサーチ
 (深層心理的アプローチ)
…主として面接による購買行動の詳細な研究

・無意識・潜在意識の発見
 …購買意志決定における消費者本人が意識していない要因
・非合理的・非論理的・情緒的な要因の重視

  ・ケーキミックスの例
  ・人々が言う購買理由は「合理化」であることが多い

--------(※ここまでで時間切れ)--------


4.ライフスタイルと消費者行動

・従来のマーケット・セグメンテーション(市場細分化)
 =性別・年齢・地理的特性などを基準としてきた
 →価値観の多様化で不都合
 →ライフスタイルからのアプローチを重要視

主婦のライフスタイルの例(小嶋ら,1978)

 (1) おしゃれ行動型(23.8%)
  30代に多い。趣味やレジャー行動が盛ん。
  家事にも工夫。
 (2) 浪費エンジョイ型(16.5%)
  20代に多い。流行やファッションに関心。
  計画性に欠ける。
 (3) 消極無気力型(24.1%)
  収入が低め。趣味やレジャーへの関心が低い。
  (1)と対照的。
 (4) ガッチリ堅実型(16.5%)
  計画的な買物,家事。節約を心がけ,
  貯蓄を重視。
 (5) ハイライフ志向型(19.1%)
  一流品を重視。交際も多い。
  現在の生活を重視。


●消費者の態度形成と変容
態度=ある対象に対する判断や感情などの評価の全体
・方向性:好き/嫌い,良い/悪い
・強さ:大好き,嫌いではない,など

▼広告戦略と態度変容
・ある属性に関する評価を改善するようメッセージを送る
・ある属性の重要性を変化させるようメッセージを送る
・全く新しい属性を付加する
・競合商品への評価を低下させるメッセージを送る

▼説得的コミュニケーションと態度
・メッセージの送り手
 ・信憑性=専門性+信頼性

・メッセージのありよう
 ・一面呈示と両面呈示
  ・両面呈示=長所とともに短所も伝える
 ・恐怖喚起コミュニケーション

▼段階的勧誘法
・フットインザドア技法
   はじめに小さな依頼に応じさせ,その後,
   本命の大きな依頼をする
・ドアインザフェイス技法
   先に大きな依頼をわざと断らせてから,
   譲歩する形でより小さな本命の依頼をする
・ローボール技法
   先に魅力的な条件や商品を提示して
   購買の決定をさせてしまう。
   (その後,悪い条件を付加したり,良い条件を
    取り下げたりしても,決定を撤回しようとしない。)


●関与と消費者行動
関与=商品に対する「関心」「こだわり」「思い入れ」のようなもの


●消費者の個人特性
▼パーソナリティ


●対人・集団の要因と消費者行動


●消費者行動における状況要因
B = f(P・E)
 … 行動(Behavior)は個人特性(Personality)と環境要因(Environment)の関数 (Lewin)
▼価格判断における状況要因
  同じ商品が同じ価格で売られていても,状況によって
  高く感じたり安く感じたりする
  ・周りのものの価格と比べて判断
  ・「正月」「お祭り」「旅行先」などのシチュエーション

▼店舗内消費者行動における状況要因
 計画購買と非計画購買
 ・非計画購買の4類型
  ・想起購買:店頭で必要性を認識する
    →商品の必要性を喚起する売場内広告の設置など
  ・関連購買:購入した他の商品との関連から購入
    夕食のメニューにしたがって購買する場合など
    →関連のある商品を接近させて陳列
  ・条件購買:そのうち買おうと思っていたものを購入
    →「本日限り」「今が旬」などと訴える
  ・衝動購入:その場で欲求が喚起される
    →売場で調理し食欲を刺激,商品の希少性などをPR

 ◆トピックス:店舗内での販売促進のための陳列技術
  ・パワー品目の活用
  ・大量陳列
  ・右側優位の原則
  ・バーチカル(垂直)陳列
  ・エンド(端)陳列
  ・関連陳列



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