富士を見ぬ日ぞ

 

伊 藤  洋

 

 

「霧しぐれ富士を見ぬ日ぞおもしろき」(芭蕉)

 

 

 私もまた同じ心境だ.強風に必死に耐えていた樹木たちを自動車道が倒し,排ガスで止めを刺し,ありとある産廃をここに投棄する.その極め付けが東と北の演習場.環境破壊だけではない,世界の平和を破壊し,ここに人々の心を廃棄する.ユネスコ世界遺産は段々遠くなる.