(revised on 2006/01/27
)








SONET( Synchronous Optical
Network)は,米国のベルコア社によって,光通信用の多重化規則として開発されたものをANSIが標準として定めた米国標準です.
これに対して,SDH( Synchronous Digital
Hierarchy 同期デジタルハイハラーキ)は,1988年に光ファイバ伝送・多重化・同期技術としてITU-Tによって標準化がなされました.それゆえ,両者は似通った形になっており,相互に互換性を持ちます.
SONETおよびSDHのビットレートは下の表のようになっています.ここで,STM-1の伝送容量155.52MbpsはSDHとしての基本フレームであり,SONETではSTS-1の51.84Mbpsが基本フレームとなって両者は相違しています.なお,表中のOC(Optical Carrier)はしばしば使用される規格番号です.
表8.2.1 SDHのレベルとビットレート
|
SDHレベル (ITU-T) |
伝送容量 |
SONET (ANSI) | OC |
| 0 ( STM-0 ) | 51.84Mbps | STS-1c | OC-1 |
| 1 ( STM-1 ) | 155.52Mbps | STS-3c | OC-3c |
| 4 ( STM-4 ) | 622.08Mbps | STS-12c | OC-12c |
| 16 ( STM-16 ) | 2488.32Mbps | STS-48c | OC-48c |
| 64 ( STM-64 ) | 9953.28Mbps | STS-192c | OC-192c |

図8.2.1 OC-1のフレームフォーマット
上図のフレーム1行分の詳細図を下に示します.ここに,セクションオーバーヘッドとは,フレーム同期,誤り監視,運用/保守などのフィールドとして使われます.
図8.2.2 OC-1フレーム1行分の詳細図
これに対してN倍の伝送容量の,OC-Ncのフレームフォーマットを下の図に示します.

図8.2.3 OC-Ncのフレームフォーマット
このような多重化・分解する装置を分岐挿入装置ADM( Add/Drop Multiplexer)といいます.ADMによるOC-1,OC-3の多重化の例を図に示します.同図には,同時にSONETオーバーヘッドの適用範囲も示しておきました.

図8.2.4 ADM装置とオーバーヘッドの適用範囲説明図
前節のATMについて説明しましたように,ATMであっても実際にWAN内部を伝送されているときにはSONET/SDHのサービスを受けます.SONET/SDHのADMにおける多重化と分解は見ようによって経路制御でもあります.それゆえ,ATMのようなオーバーヘッドの大きな方式でなくてもSONET/SDHを利用してルーティングできないかと考えられるようになりました.それをMPLS( Multi Protocol Label Switching )といいます.

図8.3.1 電話線の伝送特性
xDSLの現在の方式はDMT( Discrete Multi Tone )と呼ばれるものが標準化されています.その内,ADSLを例にとって原理図を下に示します.この図では,分かりやすくするために図8.3.1に説明したような信号の減衰は描かれていません.実際には,個々の加入者回線の減衰特性を補正するようにして,下図のようにフラットな信号レベルを実現(するように)しています.
下の図で,まず周波数0から4kHzまでは在来のアナログ電話を伝送します.そして,ここにフィルタ(スプリッタと言う)で分波して,30kHzから138kHzまでに,周波数幅4.3kHzの多チャンネルのキャリア信号を上り回線として設定します.同様に約1MHz程度までの間を下り回線として設定します.この4.3kHzのキャリア波をキャリアトーン(
Carrier Tone)と言います.

図8.3.2 DMTの周波数帯域設定
一つのキャリア波については,16QAMの変調を行います.これによって1キャリア波あたり64kbpsのデジタル伝送が可能となります.この例は,ADSLですが,このように上り回線と下り回線で帯域に差がつけられていますが,これはインターネットなどでは統計的に上りに対して下り回線の方がデータ量が多いことが分かっているからです.それゆえAsymmetric Digital Subscriber Lineの頭文字をとってADSLと言うのです.上りと下りを平衡に確保した場合にはSDSL( Symmetric Digital Subscriber Line),周波数帯域を1MHz以上まで使って高速化を図る場合にHDSL( High-bit-rate Digital Subscriber Line)と言います.
xDSLの利点は,何と言ってもその工事費の高いネットワークの新規の敷設費用を要しないで,広帯域化が図られることにあります.もちろん電話やファクシミリは今までどおり使えます.したがって新たな投資はユーザ側においてxDSLモデムを用意するだけでよいことです.システム全体のイメージ図を下に示します.

図8.3.3 xDSLからInternetへ
ただしここで一言注意をしておきます.NTTのISDNとxDSLは同居できません.と言いますのは,NTT方式のISDNはピンポン方式と言って2B+1Dを実現するのに,総帯域320kHzを使ってしまうのです.したがって,xDSLに廻すべき周波数資源が払底しているのです.諸外国のISDNは80kHz程度しか使わないので,DSLとの同居が可能で,そのために早くから普及していました.韓国などではISDNが普及していなかったためにDSLが先に普及し,結果として日本よりもインターネットの普及が早まったと言われています.

図8.4.1 CATVのチャンネル配置

光ファイバの価格はずいぶん安くなりましたが,先進国では労働力が高いために敷設費用が高く,結果的に使用料金が高くなります.そこで既設の光ファイバの帯域を有効に使うことによって実効的に価格を下げることが提案されました.それがWDM(
Wavelength Division Multiplexing )技術です.
下の図のように,光ファイバには1,300nm付近と1,550nm付近にそれぞれ200nm程度の波長にわたって0.2〜0.5dB/kmと伝送損失の低い部分があります.現在では,この波長帯の一波を使ってon/offによってデジタル信号を伝送しています.と言いますのは,光通信と言いながら現在の技術では光を一旦電気に変換して信号処理をしています.その光/電気変換デバイスの動作速度が数Gbpsに限定されているからに他なりません.そこで,一本の光ファイバにさまざまな波長のレーザー光線をつかって,それらを個別に光電変換することによって利用効率を高める方式をWDMというのです.この技術は,ここ一二年の間に急激に発達し,現在では数十GbpsのWDM回線が実用化されています.

WDMにおけるルーティングの問題は重要です.SONET/SDHと同様にMPLSを使って伝送していく方式などが現在盛んに研究されています.将来は光を電気に変換せずに最後まで光で伝えていく技術が完成することでしょう.
Ethernetについてはすでに第7章で説明しました.しかし,近年になってギガビットイーサーネット=GbEが多用されるようになり,これが第7章のオリジナルなEthernetと若干異なるところがありますのでそれについて説明しておきます.なお,山梨大学の第四世代のネットワークはこのGbEで,2001年4月から供用開始しました.
GbEもEthenetですから基本的にはCSMA/CD方式です.しかし,ネットワーク帯域を1000Mbps=1Gbpsとしたために10Baseや100Baseの規格そのままでは不都合が生じます.それは,処理速度が速すぎますから最低ビット数が同じ46Byteとしておきますと,ネットワークの端まで届く前にパケットの伝送が終了してしまい,衝突の検知が不可能になってしまいます.そのためにはネットワーク長を短く制限するのも一法ですが,それでは不便です.そこで仕方なく余計な搬送波をデータの後ろに512Byteつけることにしました.これを搬送波拡張(Carrier
Extension)といいます.これによってネットワーク長は200mまでとすることができます.(GbEは,1000Base-Xといいますが,媒体としてはカテゴリー5のUTPケーブルを使う100Base-Xと共有しますので,せいぜい100mあれば問題はないのですが・・・)
しかし,こうしますと折角速度を速めたのにデータ伝送に無関係なお荷物を常にくっつけておかなくてはならず不経済です.そこでもうひとつプロトコルを変えました.それはフレームバースト(Frame
Bursting) といって,DTEが一度チャネルをつかんだら8192Byteまで連続してフレームを伝送することを許すのです.こうすることで無駄を統計的に軽減できます.ただし,MTU1500Byteも変更無しです.GbEが短期間に世界中に普及したのは,このように先行技術と共存しながら改善されているところが好感を持たれているためです.
GbEには,もう一つ新たな適用の拡張がありました.それは,全二重オペレーションで,二点間で全二重通信を行うものです.これに光ファイバを使えば,最大1Gbpsの帯域でブリッジ機能によるLANの拡張ができます.山梨大学では,2003年度より,医学部と甲府キャンパス間でGbEの全二重オペレーション機能を使って遠隔授業などを行います.