第2章

データ伝送方式

更新日:06/01/18 17:45:02

 コンピュータ通信に使われるデータはほとんど電気信号に変換して使われます.レーザーが光源として使われてもいますが,現段階ではまだファイバ中を伝送する時だけであって,しかもベースバンドで光をon/offするだけ,レーザーの優れた特性である可干渉性(coherency)を利用した光信号処理をしているわけではありません.この章では,電気信号をどのように使ってコンピュータデータを伝送しているのかを学びます.

 用語集


1.信号と周波数

2.アナログ変調方式

3.多重化方式

4.ディジタルデータ伝送方式

5.ディジタル同期方式

6.伝送モード

7.誤り検出方式


第1節 信号と周波数

 電気信号という言い方をする時,それは厳密には物理学的量としては「電力」なのですが,多くの場合「電圧」を指すものとして考えてほとんど間違いありません.電圧が時間的に一定の場合,これを直流DC(Direct Current)といいます.電圧が時間的に変動し,とくに正負に揺れるような時,これを交番電圧,または交流AC(Alternating Current)電圧といいます.
 直流では,電圧が常に一定なのですからエネルギーを伝えることはできますが,この中に「電圧がある」という以上の情報は含まれません.したがって,私たちがこれから情報伝送に利用できるのは交流だけです.
 交流のもっとも単純な形は定数係数の正弦関数波形(sinusoidal function wave form)です.1秒間に2πf[rad]位相が変化する交流をf[Hz]の交流信号といいます.こういう単純な波形も直流と何ら変わらずエネルギーは伝送できますが情報を載せることはできません.情報を伝送するためには,時間的に交流の「特徴」が変化しなくてはなりません.交流を規定する特徴には,振幅周波数位相があります.
 私たちが日常的に使う情報手段としては言葉,すなわち音声があります.口から発する音声はおよそ数十Hzから数kHzの交流です.したがって聴覚の検知周波数帯域も20Hzから20kHzといわれています.この周波数帯域の中で,振幅や周波数を変化させながら言葉を発し,聞き手はそれを的確に聴き取ってコミュニケーションをしています.
 音声を直接電気信号に変えて,それを電線にのせて遠方まで伝送しているのが電話です.電話は300Hzから3.4kHzの帯域の電気信号を伝えています.電話のように電気に変換された信号そのものを直接媒体を通して伝える方式をベースバンド通信といいます.
 真空でなくてもただ空気があるだけの環境の中を電線を使わずに電気信号をベースバンド通信で伝えるというようなことはしません.混信して通信できないからです.たとえば,ラジオ放送などは音声を伝えていますが,媒体として伝走路が空気または真空ですから,そこを通して伝えるには電磁波や光のように真空または空気中でも伝播する媒体を利用するしかありません.電波では,数十kHz以上の交流でないと能率がよくありません.また,光なら数百テラヘルツ[THz]というきわめて高い周波数に相当します.こういう媒体に情報を載せる時,この媒体を搬送波,載せる情報を信号波といいます.信号波を搬送波に乗せることを変調といいます.高周波を変調して情報を伝送することを帯域伝送などともいいます.
 変調方式には,振幅を変化させる振幅変調,周波数を変化させる周波数変調,位相を変化させる位相変調などがあります.こういう変調によって交流信号に情報を載せることができますが,交流の周波数が高いほど載せることのできる情報量も多くなります.

第2節 アナログ変調方式

 信号の変調方式には次のようなものがあります.

2.1 振幅変調(Amplitude Modulation)

2.2 周波数変調(Frequency Modulation)

2.3 位相変調(Phase Modulation)

このほかにも数多くの変調方式がありますが,後の勉強のために必要なものだけにとどめます.

2.1 振幅変調(Amplitude Modulation)

 ラジオの中波放送がこの方式を採用しています.また,NTSC方式ではTVの映像信号もこの変調方式です.日本のラジオを例にとりますと,放送局は,500kHz〜1.5MHz帯の許可された周波数の一定振幅の高周波で原発振器を発振させています.この高周波信号を搬送波(Carrier)といいます.これだけでは何も情報を送ることはできません.そこで,下の図のように,音声信号(変調波という)で搬送波の振幅を変化させます.搬送波の何かを変化させることを変調(Modulation)といいます.この場合には振幅を変化させますので振幅変調(Amplitude Modulation=AM)です.


 図2.2.1 振幅変調波形 

 これを受信するには,同調回路で搬送波の周波数にチューニングしてその周波数だけを拾い出し,それをダイオードで検波します.上の図の上または下半分を切り取った波形が検波波形です.そのなかには切り取られた高周波成分が含まれていますので,それをフィルタにかけて高周波分をカットすれば信号波が出てきます.これを電圧増幅器(Amplifier)にかけて振幅を高め,電力増幅(Power Amplification)してスピーカーから音声を出力したのがラジオです.搬送波だけでは周波数帯域はその周波数だけのほぼ0Hzですが,変調すればその分だけ帯域を要します.周波数の有効利用のために国際的にラジオ放送は±4.5kHz(両側帯波9kHz)と定められています.人間の可聴周波数範囲は20Hz〜20kHzですので,中波ラジオは,音質的にいたって不十分な放送です.

 AM変復調回路

2.2 周波数変調(Frequency Modulation)

 FM放送やTVの音声信号などはこの変調方式を採用しています.FM変調とは,下の図のように搬送波の周波数を信号波の振幅に比例した値だけ変動させることです.FM放送は20〜18kHz帯域で放送していますから十分な音質が得られ,音楽ファンには魅力的な変調方式です.


 図2.2.2 周波数変調波形 

 これを受信するときには,周波数弁別器(frequency discriminator)という周波数差に比例して電圧が発生する回路を通し,元の変調信号を再生させます.FMでは,振幅を一定にしています.外来雑音は主として信号に加算的に作用しますが,FMの送受信には振幅が関係しませんので,受信部では振幅リミター(limiter)によって加算された雑音を切り取ってしまいます.こういうことができますので,FMは雑音に強いアナログ伝送方式です.TV画面に生ずる雷の白い雑音が,音声側にはまったく入ってこないことや,FM放送を聞いていて雑音を感じないのはこのためです.欠点は再生に必要な周波数帯域が広く周波数の有効利用に不向きなことです.

FM変復調回路

2.3 位相変調(Phase Modulation)

 信号振幅に比例して搬送波の位相を変化させる方式を位相変調PMといいます.位相が変わるということは周波数が変わるということと同義ですから,下図のように原理は大いに違うように見えながら実はFMと同じことになります.したがって,検出方法も同一です.
 ただし,ディジタル伝送として使うときには両者の違いが顕著に出てきます.→PSK/FSK参照


 図2.2.3 位相変調波形 


第3節 多重化方式

3.1 周波数分割多重方式FDMA

3.2 時分割多重方式TDMA

 一つの伝送路を介して多数の信号を伝送することを多重化(または搬送)(multiplication)通信と言います.これにもさまざまな技術がありますが,代表的な多重化方式として周波数領域での多重化方式である周波数分割多重方式FDMA),時間領域での多重化である時分割多重方式TDMA)を紹介しておきましょう.

3.1 周波数分割多重化(Frequency Division Multiple Access)

 一つの定められた周波数帯域内の伝送路に複数の信号を伝送することで伝送路を経済的に有効に使う方式がFDMAです.
 下の図のように,電話などの音声信号があったとき,それらの周波数帯域がΔFであったとします.これらの信号で,f,f,…fという搬送周波数を持つ搬送波を振幅変調します.ただし,f,f,,…fのそれぞれの差よりΔFは小さいものとしておきます.こうして変調されたf+f+…fの搬送波の和を,改めてF0なる搬送波の変調信号として変調した搬送波を伝送したとき,これを周波数多重化方式といいます.


 図2.3.1 周波数多重 

 たとえてみれば,小型自動車を搬送する陸送大型トラックのようなものです.

3.2 時分割多重化(Time Division Multiple Access)

 TDMAの話に入る前にPCMの原理についてみておきましょう.

3.2.1 パルスコード変調(Pulse Code Modulation)

 下の図のようにアナログの信号波があったとします(簡単のために正の電圧の信号だけだとします).一定時間間隔(Δt)でこの信号波形の電圧を計測します.これを抽出という意味でサンプリング(sampling)といいます.サンプリングしたときの値をあらかじめ決められた基準電圧と比較し,その何倍かという整数値で表現します.このとき端数は切り捨てます.これを量子化(quantumization)といいます.切り捨てられた端数は原信号の忠実な再生には欠点となります.これを量子化雑音といいます.(量子化雑音を減らすには基準電圧をできるだけ小さくしてやることですが,その分だけパルスコードが増えて処理が難しくなります.)
 量子化された数値を,決められたビット数で表現します.2なら0010,7なら0111のように.これを
符号化(coding)といいます.ISDN方式の電話では8bit,最新版のCDでは16bitで表現されています.
 以上のように,アナログ波形から,時間列の中に<1,0>ビット列を配列する方式がPCMです.最終的なビット列の周期(Δτ)は,Δtより小さいことが必要です.ディジタル録音のレコードやディジタルレーザーディスクなどディジタルと名のつくものの殆どがこの方式といっても過言ではありません.


 図2.3.2 PCMの原理 

3.2.2 STM(Synchronous Transfer Mode) 

 同じようにして得られた多数のチャネルについてPCM化された一定ビット列のコードを,あらためて時間間隔Δt周期の時間の流れ(これをフレーム(frame)といいます)の中に順序を決めて詰めていきます.フレームの何番目に詰めるかをスロット(slot)といいます.Δtに対して,コードのパルス間隔Δτが小さければ小さいほど大量のPCMコードが詰められます.そして,Δtを一周期として時間フレームの中に繰り返し詰めていきます.
 こうして,一つの伝送路を時間的に分割して多重化する方式がTDMAです.とくにスロットの順序を固定して繰り返していく方式
STM(Synchronous Transfer Mode)といい,スロット順序を取り決めない方式ATM(Asynchronous Transfer Mode)といいます.


 図2.3.3 時分割多重 

 光ファイバを使った多重化


 図2.3.4 STM(同期転送モード) 


第4節 ディジタルデータ伝送

 ディジタルの伝送には,大別して次の2種類の方法があります.

4.1 ベースバンド方式

4.2 帯域伝送方式

4.1 ベースバンド方式

 ベースバンド方式とは,高周波で変調をしないで直接信号を1,0の形式で送り出すもののことです.10Base5,100Base-TなどのEtherNetなどはこれに属します.
 ベースバンド方式には大別して,単流式複流式,その他があります.単流式は,1を+Eまたは-Eに,0を0とする類の方式,複流式は-Eと+Eの2値を使う場合で,後者は全体として直流分を持たないので回線が帯電するようなことがない利点があります.
 こういう分類に対して,NRZ(Non Return to Zero)およびRZ(Return to Zero)の分類があります.RZは0電位を基準にする方式,NRZはRZでないもののことです.論より証拠,いくつかの例を下の図に示します.


 図2.4.1 ベースバンド方式の種類 

・ 単流NRZ:<1>を-E,<0>を0とする.

・ 単流RZ:<1>の時に一定時間-E,他はすべて0とする.

・ 複流NRZ:<1>の時-E,<0>の時+E.

・ 複流RZ:<1>の時一定時間-E,<0>の時一定時間+E,他はすべて0.

・ 差分:<0>の時+Eから-Eまたは-Eから+Eへ,<1>の時は変化なし.
・ バイポーラ:<1>のとき+Eまたは-Eとする.ただし,+Eと-Eは必ず交互に出現させる.<0>の時は0.

4.2 帯域伝送方式

4.2.1 ASK方式

 振幅変調方式で<0>,<1>のデータを伝送するのは電信がその最初です.下の図のように,振幅の一定のものを<1>,0のものを<0>とすれば,これでコードが送れます.アナログ通信では振幅変調AMに相当しますが,別にASK(Amplitude Shift Keying)などといいます.
 振幅として,<1>,<0>だけではなくて,もっと多くの振幅を定めて多値化をすることが可能です.たとえば,振幅を4等分して,それぞれを<00>,<01>,<10>,<11>とすれば,4ビット伝送できます.
 このように振幅を変化させますと,上のAMで見たように側帯波が生じますから,伝送路としては周波数帯域が拡大されます.多値化すればするほど伝送路としては広い帯域が要求されますが,デジタルの場合には多少の波形の誤差は量子化誤差の内側に隠れてしまいますから,アナログ伝送では問題となる歪などは伝送の質に入ってこないという特長があります.4kHzしかアナログ伝送帯域が無い電話回線を使って,9.8kbps以上のデジタル伝送が出来るのはこういう特長をうまく利用しているからです.


 図2.4.2 ASKコーディング 

4.2.2 FSK方式

 下の図は二つの周波数を持つ信号を表わしています.低周波のものとそれより高い周波数のものの二つです.アナログの回線を伝送できる周波数2つを選んでこのように伝送させ,たとえば低い方の周波数を<1>,高い方の周波数を<0>と呼ぶことにすれば,これでディジタル信号を送ることができます.これをFSK(Frequency Shift Keying)といいます.
 このようなやり方は,CCITT(ITU)のV.21,V.23などの規格の
モデムが採用している方法です.これは電話回線(一般公衆回線)を使ってディジタル伝送をするときの有力な方法です.

 図2.4.2 FSKコーディング 

4.2.3 PSK方式

 下の図は4相PSK(Phase Shift Keying)を例示したものです.最初の1周期は位相が0の波形,次の二つ目の周期は位相を90°遅らせてあり,第三番目の一周期は位相を180°遅らせ,4番目は270°遅らせてかきました.基準となる波形からの位相のずれに対し,4相PSKではそれぞれ<00>,<01>,<10>,<11>という数値と対応させるという具合にしていけばディジタルコードが作れます.しかも,この場合には周波数帯域はほとんど基準波の周波数のごく近傍にありますので,アナログ的には狭い周波数帯域で通信できます.
 最近モデムの速度が急激に速くなっていますが,このPSKを8相とか16相,24相などと引き上げることで実現しています.これらの規約は,
ITUのVシリーズとして国際標準になっています.


 図2.4.3 PSKコーディング 

 ITU-Vシリーズ

4.2.4 QAM方式

 上のASKとPSKを組み合わせて,たとえば振幅変調で2段階,位相シフトを4段階として,3bit(8値)の多値信号としたものを8QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式と言います.これはV.34というFAXモデムに使われている変調方式です.16QAMは,近年話題のxDSLやCATVのケーブルモデムなどの変調方式に使われています.その他,128QAMなどはデジタルTV の伝送などにも使われています.


 図2.4.4 QAMの振幅と位相の設定 


第5節 ディジタル同期方式

 ディジタル信号の伝送には,同期が大切です.ディジタル信号は,究極的には「0」か「1」しかない信号ですから,どこから始まってどこで終わるのかが明らかでないと,信号としては伝送できてもデータとしては意味をなさなくなるからです.
 同期方式には,大別してビット同期とブロック同期の二つがあります.ビット同期とは,一つ一つのビット信号毎に同期を取る方式,ブロック同期とは,あるひとかたまりのデータごとに同期を取る方式です.


 図2.5.1 同期方式の分類 

5.1 ビット同期

5.1.1 同期方式

 これにも大別して二つの方法があります.一つ一つのビット信号自身を微分してそのトリガーパルス(トリガーtriggerとは銃の引き金のこと)を同期タイミング信号とする内部同期方式,タイミング専門の同期信号線を別に敷設してそこから同期を取る外部同期方式です.

5.1.2 非同期方式

 一つ一つの文字コード(7,ないし8bit)の最初と最後に同期用のビットを加える方式です.調歩同期方式とも言います.最初に付けるのをスタートビット,後ろに付加するのをストップビットといいます.この方式は,キャラクタ(文字コード)を送信する場合にだけ使われます.簡単で確実に同期が取れる反面,キャラクタコード1個1個に2bitずつタイミングビットを使うため不経済です.こういう方式では,無通信状態の時にはストップビットだけを伝送することが多いようです.


 図2.5.2 非同期(調歩同期)方式(単流NRZで表現) 

5.2 ブロック同期

 5.2.1 キャラクタ同期方式

 特定のキャラクタを同期用信号として使う方式です.たとえばBSCなどではSYNコード(シンクと読みます)として,0010110を同期用キャラクタとして取り決めています.この場合も,キャラクタのみの送信に限定されます.ブロック同期の特長である経済性は,特に長文のデータを送るときなどではビット同期に比べはるかに高くなります.


 図2.5.3 キャラクタ同期 

5.3 フラッグ同期方式

 キャラクタ同期と全く同様ですが,あるフラッグパターンを伝送して,パケットの始まりを宣言するやり方です.パケット通信などのプリアンブル(preamble=前文)が,フラグ同期の典型的例です.HDLCでは,01111110が規格化されたフラグパターンです.
 この方式では,キャラクタに限らずいかなるデータでも送れます.

第6節 伝送モード

 伝送モードを分類すると下の図のようになります.


 図2.6.1 伝送モードの分類 

6.1 単方向モード

 データの流れが一方向の通信です.放送などはこれに属します.

6.2 双方向モード

 これには全二重と半二重があります.全二重は同時に双方向に伝送可能なモードです.電話がそうで,市内電話は2線式の全二重の例です.ただし,電話でも市内交換局から上の階層では4線式の全二重方式になっています.半二重は,双方向に情報の流れは可能ですが,同時には一方向のみとなっているものです.LANなどのネットワークは,多くこのモードに属します.

7 誤り検出方式

 ディジタル通信とアナログ通信との決定的な違いはといえば,ディジタル通信には「誤り検出」機能があるが,アナログ通信ではそういう概念自体が存在しないということです.アナログ通信では雑音や周波数分散・散逸による信号の歪みが原信号との違いになり,これが「誤り」なのですが,これを雑音低減とか,分散抑制とか言いますが「誤り」とは言いいません.それはアナログ通信が最終的に人間の五感で読み取られるからです.
 ディジタル通信でも,最終的にアナログ信号に戻されるようなものでは事態は同じですが,コンピュータ通信のようにデータの伝送を主たる通信とするようなものでは,「誤り」は重大な結果につながることがありますから深刻です.たとえば,銀行間のデータ通信で金額データに誤りが入ったらそれこそ大変です.NTTのデータ通信サービスの誤り率は,回線交換サービスで10−5パケット交換網でも10−10程度と言われています.前者では1MBのデータ中に10Bの誤りが,後者でも10GB中に1Bの誤りデータが紛れ込んでいます.そこで,データ通信にはいたるところに「誤り検出」や「誤り訂正」機能が入れ込まれています.
 誤り検出方式の代表的なものを挙げると次のようになります.
キャラクタパリティ検出方式
冗長符号付加方式
 1. BCC(Block Check Character)方式
 2. BCS(Block Check Sequence)方式

7.1 キャラクタパリティ検出方式

 データ通信では,一定数のディジタル符号のかたまりを定義して文字や記号のコードとします.たとえば,ASCIIコード下7桁では,

「T」=<1010100>

「E」=<1000101>

「S」=<1010011>

などです.これらのビット列をキャラクタコード(character code)といいます.ここで,<T>には<1>が3個,<E>にも3個,<S>では4個含まれています.こういうとき,<T>や<E>を奇数ビット,<S>を偶数ビットといいます.
 これらキャラクタコードの最後にもう1bit加えて8bitとし,この付加ビット<1>または<0>によってすべてを奇数ビットにするか,偶数ビットにするかをあらかじめ決めておき,もし決められた偶奇性(パリティparity)に合わなければそのキャラクタは伝送中のデータ誤りとして誤り検出する方式がキャラクタパリティ検出方式です.


 図2.7.1 パリティチェック方式 

 「JIS-C-6360」では,非同期(調歩同期)通信では偶数パリティ同期通信では奇数パリティを採るように規定されています.
 なお,このように一つ一つのキャラクタに誤り検出用の1bitを付加する方式を垂直パリティ検出方式といいます.ここで,「垂直」とはデータの時間的な流れを垂直(タテ)と見立てたということです.

7.2 BCC(Block Check Character)方式

 垂直パリティに対して水平パリティという概念を導入します.これは一定数のキャラクタコードを転送したとき,最後に冗長的なキャラクタコードを一つ加え,各キャラクタの同一順位ビットの和が奇数または偶数になるようにあらかじめ決めておき,それに従っていないデータ群がきたらその中に誤りがあると検出する方式です.下の例は,垂直パリティをも加えた偶数のBCCの例です.


 図2.7.2 垂直パリティと水平パリティ 

 なお,JIS-C-6360では,水平ビットは特に断らない限り偶数とすると規定されています.

7.3 CRC方式

 前2つの方式は,雑音の混入が確率的(ランダム)であるような場合に生ずる「独立誤り」には相当に効力を発揮します.しかし,これがネットワーク付近の雑音源から集中的に雑音が混入するような場合や,ネットワーク機器の故障によって雑音が集中して発生するような「バースト誤り」に対しては全く効力がありません.そういう場合にはCRC方式が用いられます.CRCも水平パリティと同様に冗長キャラクタを入れ込む方式です.その符号がCRC(Cyclic Redundancy Check)符号です.

7.3.1 CRC符号生成の原理

 いま転送するnビットのデータをそれぞれ

bn,bn-1,bn-2,…..,b2,b1,b0

とします.すなわち,このデータを多項式で表わせば次のようになります.

    (1)

 いま,生成多項式G(x)のビット長をkとし(「CRC-k」と呼ぶ),xM(x)をG(x)で割り,その剰余をR(x)とします.これらの間には,

    (2)

なる関係が得られます.CRC符号というのは,このR(x)のrk-1,rk-2,….r1,r0で表わされるビット列のことです.


 図2.7.3 CRC符号の挿入 

7.3.2 データの転送

 CRC方式では,実際に転送したいデータM(x)に続けて上のCRC符号を送ります.これを多項式で表せば,生成多項式の桁数kだけ桁上げされたxkM(x)+R(x)ということになります.式(2)と合せて次の関係が成立します.

    (3)

受信側では,当然データが誤りなく伝送されれば上式を受信します.上式右辺のR(x)+R(x)は,排他論理和演算をしますと0となります.すなわち,

    (4)

排他論理和演算をするとういうことは,巡回型シフトレジスタによる符号生成回路で符号を生成することであり,もし誤りがなければデータを受信し終えたときにレジスタには0が並ぶことを意味します.

7.3.3 例題

 CRC方式になれるためにCRC-3を例にとって調べてみましょう.
 いま,送信すべきデータMとして,

M=101010

があるとします.

 送受信者双方では予め打ち合わせておいた生成多項式 G=x3+x2+1 として

G=1101

としたとします.M/Gを求めますと,

M/G=101010000/1101=110111 余りR=11

を得ます.
 そこで送信者はMを送る代わりに,桁桁上げしたx3M=101010000にR=11を加えて,

101010011

を送信します.
 受信側では送られてきた101010011を生成多項式G=1101で割りますと,

101010011/1101=110111 余り0

となって,剰余が無いことから受信データに間違いはなく,その本当のデータは,

M=101010

であることを知ります. 

7.3.3 演算器

 生成多項式G(X)としては,次のようなCRC-16CRC-12などがあります.

 (CRC-16)   (5)

 (CRC-12)   (6)

 式(5)についての巡回型シフトレジスタを下の図に示します.


 図2.7.4 CRC-16巡回型シフトレジスタ 

 動作例


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