ベクトルの発散とガウスの定理
- ▽演算子をベクトル関数に作用させる時,▽は定義からしてベクトル演算子ですから,あたかも▽とベクトル関数の内積を取るように作用させた時,「ベクトル関数の発散を取る」といいます.すなわち,
(eq. 1)
- です.ところで,下図のように閉曲面Sを貫通する流束を求めてみましょう.Aを流れのベクトルとすれば,∫sA・ndSは流束です.ここに,nは面Sに垂直な外向き法線(単位)ベクトルです.
図 1 閉局面からの発散
- そこでこの流束を直接求める代わりに,体積Vを微小な直方体に分割し,それらの表面を貫通する流束を求めてみましょう.この図のSの内部にとった微小な直方体の1つを拡大して下に示します.
図 2 単位立方体からの発散
- 先ずy軸と垂直な微小面ΔxΔz面から流出する分を計算してみます.流出量を計算するのですから左側の面からの流入分は負として計算されます.すなわち,
- がこの場合の流出量です.
- いまΔyが小さいとすれば,
- となります.ゆえに,
- と見積もることができます.
- こういう計算を他の4つの面についても同じように実行しますと,

- となりますから,結局総体としてこの微小直方体の6面から流出する量としては,
- となります.
- いま一般的に閉曲面Sによて囲まれる体積VについてSを貫通して出て行く流束量を求めます.このとき,内部に微小な直方体を無数に設定し,それらの内部の直方体の表面からの流出量を求めますと,Vの内部では隣り同志が打ち消し合って,結局Sからの分だけが正味の放出量となるため,
(eq. 2)
- なる数学的関係が得られます.最後の置き換えは積分の定義そのものです.これをガウスの定理といい,体積積分を面積分に次元を落とす定理です.ここに,nは面Sに垂直な外向き法線(単位)ベクトルです.
- この定理に従えば,
(eq. 3)
- としたとき,
(eq. 4)
- のようになります.これから分るように,体積V内に閉じ込められているρという量から発するベクトルDがあって,それは閉曲面Sから外向きに発散していることを表わしています.それゆえ,式(10)は微小な体積を包む微小な閉曲面から外向きに発散する量を▽・Dいう形で表わしたことになります.これが「発散」という用語の意味に他なりません.