No.33  江戸っ子のコミュニケーション

 言葉を極限まで省略しても分かり合えた江戸っ子の会話;

達ッつあん: ほれでおめえ、なにはどうなったぃ?

新ちゃん:  なにかい? なには大丈夫だぃ。丁度、ほれ何が来たからな、いいあんばいに何しておいたよ。

達ッつあん: そうかい、そりゃうまいことしたなぁ。じゃあ、なにはこれでよしって分けだ。

そこへ、人が訪ねてきた。

客: あのぉ、この辺に「木村喜三郎」さんというお人は居りませんかねぇ?

新ちゃん: なにぃ、キムラキサブロウ? また、おっそろしく長げぇ名前の野郎がいたもんだね。おい、キサッペ! おめぇ、キムラキサブロウさんて男を知らねぇかい?

キサッペ: キムラキサブロウ?また、おっそろしく長げぇ名前だね。そんな長げぇ名前の野郎は俺は知ら・・・・、 おお、そりゃ俺の名前だぃ。

その翌日;

新ちゃん: おい、達ッつあん、デエクのキサッペの本当の名前はよ、「キムラキサブロウ」って言うんだってよ。デエクのキサッペというのは、世を忍ぶ仮の名前だってよ。

達ッつあん: えっ? あの野郎、二つも名前を持っていたなんて太えぇ野郎だ!