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芭蕉db
廿九日立春ナレバ
(千宜理記)
(はるやこし としやいきけん こつごもり)
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寛文2年の作。制作年代が判明しているものの中では芭蕉最古の作とされる。作者19歳の春。
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春や来し年や行きけん小晦日
「年の内に春は来にけり一年を去年とや言はん今年とや言はん」などにあるありふれた類型句。一句は、「立春が年内の29日に来てしまったが、これは新しい年が来たと言うのか、旧い年が過ぎ去ったと言うのか分からない」と言った意味。この年寛文2年は、12月29日に立春がやってきた。ちなみに12月29日は30日の大晦日<おおつごもり>に対して小晦日<こつごもり>と言った。
なお,この種の詞の遊びに近い年内立春に関しては以下のようなものが有る。つまり芭蕉のこの句はいたって類型的な作品なのである。
年の内に春は来にけり一年を去年とや言はん今年とや言はん(在原元方『古今集』)
年の内へふみこむ春の日足哉 (北村季吟『山之井』)
あだ花の春やまづたつ年の内 (正式『山之井』)
雲も霞も立つ春を去年とやいはん年の暮 (謡曲『絵馬』)