芭蕉db

鐘消えて花の香は撞く夕哉

(新撰都曲)

(かねきえて はなのかはつく ゆうべかな)

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 貞亨年間(41歳〜44歳)頃までの作。出典からして、もっと以後のものとする説もある。
 なお、この時期の制作年次不明のものとして、10句がある。

鐘消えて花の香は撞く夕哉

 鐘を撞くのであって鼻を撞くわけはないが、一句はそういう転倒をあえて用いている。入相の鐘がなり終えて静まりかえった春の夕べ、改めて花の香が鐘の音の余韻のように匂い立ってくる。
 正直のところ、良い句なのかそうでないのか良く分からない作品である。