芭蕉db
   葛城の郡竹の内に住む人ありけり。
   妻子寒からず、家子豊かにして春
   田返し秋忙はし。家は杏花の匂ひ
   に富みて詩人をいさめ愁人を慰す。
   菖蒲に替り菊に移りて、慈童が水
   に徳を争はんこと必とせり

初春まづ酒に梅売る匂ひかな

(真蹟懐紙)

(しょしゅんまず さけにうめうる においかな)

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 貞亨2年、『野ざらし紀行』旅の途中、奈良葛城にて。前年にもここを訪れて、「綿弓や琵琶に慰む竹の奥」と詠んでいるが、誰の屋敷か不明。豪農で造り酒屋も経営している名主階級の人らしい。

初春まづ酒に梅売る匂ひかな

初春の梅の香りも馥郁と香っているこの里で、お酒の匂いが交じり合ってなんともいえない豊かな気分になっています。挨拶吟。