徒然草(下)

第147段 灸治、あまた所に成りぬれば、


 灸治*、あまた所に成りぬれば、神事に穢れありといふ事*、近く、人の言ひ出せるなり。格式等にも見えずとぞ*

灸治灸による病気治療。

あまた所に成りぬれば、神事に穢れありといふ事:多くの個所に灸をすえると、神事にとって穢れとなるので神社に行ってはいけないとされた。この時代、3箇所までなら参詣してもよいが、4箇所以上に灸をすえたらば穢れが発生すると言ったと伝えられている。

近く、人の言ひ出せるなり。格式等にも見えずとぞ:そんなことを最近になって言うようになったが、法律には無い。律令にも細則にも無いこと。 


 兼好の論理性が書かせているのであろう。


 きゅうじ、あまたところになりぬれば、しんじにけがれありということ、ちかく、ひとのいいいだせるなり。きゃくしきとうにもみえずとぞ。