『山梨工業会誌』1996.9
情報処理センターでは,学内ユーザに向けてマルチメディア情報を伝送するよう,いまシステムの強化を図っています.それとは別に,学内のマルチメディア講義室6室にセットトップボックスを設置して,そこに動画データベースを配信し,講義に利用できるシステムを構築しました.こういうシステムをビデオオンディマンド(VOD)といいます.生まれたときからカラーTVを見て育った現代の学生に,セピア色の講義ノートを黒板に書き写すだけの講義ではもはや訴求力は望めません.もちろんこのネットワークはインターネットに接続されていますから,生きた世界の情報が講義室に届けられているわけで地球的な規模の学術情報が居ながらにして用意されていることになります.今後,教官がこれをどう駆使していくか,字面だけではない「大学改革」の原動力になるものとセンターでは考えています.また,このような情報環境の広がりは大学における教科そのものをも革新させずにはおかないでしょう.たとえば,外国語などについても単によその国の言語を理解するというレベルから異文化の文化記号論的理解というように考え方を変えている先験的な教官がいます.あるいは,環境問題を世界的な観測インターネットワークの形成という組織づくりと併せて研究して行こうとしている行動的な人もいます.情報化という新たなパラダイムの中で大学の本質も大きく変化しようとしているのです.