芭蕉db」

秋の朝寝

(元禄7年9月22日:51歳)


 あるじは、夜あそぶことを好みて、朝寝せらるる人なり。宵寝はいやしく、朝起きはせはし*

おもしろき秋の朝寝や亭主ぶり  翁

(おもしろき あきのあさねや ていしゅぶり)

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おもしろき秋の朝寝や亭主ぶり

 すでに身辺に死が訪れているというのに、芭蕉は大坂在住の蕉門の弟子ら7人と、この前夜から半歌仙を巻いている。深更に及んだため芭蕉のみならず、主人の車要は朝寝坊をしている。それを愛でて書いた一文。しかし、当人は朝寝を楽しんでいるより、実際はもはや動くのが大儀であったはず。いはば、車要への形見の一文と見たほうがよいのではないか。