芭蕉db
からびたるも艶なるも、たくましきも、はかなげなるも、おくの細道もて行に*、おぼえずたちて手をたゝき、伏て村肝を刻む*。一般は蓑をきるきるかゝる旅せまほしと思立*、一たびは坐してまのあたりに奇景をあまんず*。かくて百般の情に、鮫人が玉を筆にしめしたり*。旅なる哉、器なるかな。なげかしきは、かうやうの人のいとかよはげにて、眉の霜のをきそうふぞ*。
元禄七年初夏
素竜書
表紙 年表