- 「芭蕉db
笈の小文
(唐招提寺)
- 招提寺鑑真和尚来朝の時*、船中七十餘度の難をしのぎたまひ御目のうち塩風吹入て、終に御目盲させ給ふ尊像*を拝して、
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(わかばして
おんめのしずく ぬぐわばや)
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表紙 年表
若葉して御
めの雫ぬぐはヾや
- 唐招提寺は天平勝宝6年鑑真和上建立の寺。国宝鑑真和上像を見て詠んだ句。この柔らかい若葉で鑑真上人の見えなくなった目の涙を拭ってあげたい。
「若葉して」という日本語は珍しい。季節も若葉の季節だが。
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唐招提寺にある句碑(牛久市森田武さん撮影)
- 招提寺鑑真和尚来朝の時:<しょうだいじがんじんおしょうらいちょうのとき>。鑑真和上は,西暦754年2月に日本に来て,律宗を紹介した。799年8月に唐招提寺を開いたが,船中での栄養失調がもとで失明した。
- 御目盲させたまふ尊像:<おんめしいさせたもうそんぞう>と読む。唐招提寺開山堂に安置されている盲人姿の鑑真和上像のこと。現存している。