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芭蕉DB
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野ざらし紀行
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(年の暮)
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爰に草鞋をとき、かしこに杖を捨て、旅寝ながらに年の暮ければ、
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(としくれぬ かさきてわらじ はきながら)
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といひいひも、山家に年を越て*、
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(たがむこぞ しだにもちおう うしのとし)
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表紙
年表
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年暮ぬ笠きて草鞋はきながら
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蕪村は、「笠着て草鞋はきながら、芭蕉去てそののちいまだ年暮れず」との句を詠んでいる。芭蕉も良いが蕪村も良い。それほどにこの句は良い。
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誰が聟ぞ歯朶に餅
おふうしの年
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この地方では、年始に新妻の実家に羊歯を添えた鏡餅を贈る風習があった。丑年の春、牛の背中にその鏡餅を載せて、牛を追いたてて行く若い婿の姿は、芭蕉にとって久しぶりに見る懐かしい光景だったのであろう。のどかな句。
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山家に年を越て:貞亨元年12月25日、芭蕉は郷里伊賀上野の兄松尾半左衛門宅に帰りここで越年。