芭蕉宛其角書簡

( 貞亨5年1月25日)

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明星やさくら定めぬ山かづら

如何可御ざ哉。

瓢覃(箪)坊に出る雨の日

朝ごとのうずらの水をくみかへて

人得て秋の炭がまを掘ル

鱅鳴貴舩の鈴のころころと

どうやら五句付に成候て本心にそみ不申候へ共、是は病にてシカジカ無御ざ候て、心気恬憺ならぬように覚申候ゆへかと被存候。御句どもにて本心を洗可申候。猶重而委可申上候。以上

   正月廿五日        キ角

はせを様


『笈の小文』の旅で伊賀上野に帰省中の芭蕉宛、江戸在住の其角から来た書簡。 其角の句の批評を乞われたもの。