芭蕉db
人も見ぬ春や鏡の裏の梅
(己が光/続猿蓑)
(ひともみぬ はるやかがみの うらのうめ)
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元禄5年初春。
人も見ぬ春や鏡の裏の梅
鏡の裏に絵を描くというのはおよそ無益のことであろうが、古来手鏡などには鶴や松の絵、梅やら亀の絵が描かれていたものである。現在ではほとんど無地になっているようだが。そういう鏡の裏に梅の花が満開に咲いている。こんなところにも春は来ていたのだ。詩人でなくては見落としてしまう片隅の春である。
名古屋市中区大須清浄寺の句碑(牛久市森田武さん提供)