芭蕉db
   この一巻は必ず記行の式にもあら
   ず、ただ山橋野店の風景、一念一
   動を記すのみ。ここに中川氏濁子
   丹青をしてその形容を補はしむ。
   他見恥づべきものなり

旅寝して我が句を知れや秋の風

(野ざらし紀行画巻)

(たびねして わがくをしれや あきのかぜ)

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 貞亨年間(41歳〜44歳)頃までの作。『野ざらし紀行画巻』(三康図書館所蔵)は、濁子が画を描き、芭蕉が跋文を書いた。
 なお、この時期の制作年次不明のものとして、10句がある。

旅寝して我が句を知れや秋の風

 『画巻』に描かれるのは「野ざらし」の句のテーマだが、この一連の句の真意は旅をしてみてはじめて分かるものであろう。さしあたり、『画巻』とともに旅をして、句を味わって欲しいものだ。
 結句の「秋の風」は、跋文を書いたのが秋であることを表しているが、同時に旅のもつ寂寥感も暗示している。


山橋野店:杜甫の詩「・・・野店山橋、馬蹄を送る」を引用。
中川氏濁子:Who'sWho参照。ここに「丹青」は絵具のこと。