芭蕉db

秋海棠西瓜の色に咲きにけり

(東西夜話)

(しゅうかいどう すいかのいろに さきにけり)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 元禄4年初秋。元禄7年説もある。いずれにせよ上方での句だが作句場所は不明。

秋海棠の花 山梨県増穂町上高下で撮影

秋海棠西瓜の色に咲きにけり

 秋海棠の花がスイカの実のような紅い色で咲いている。秋のはじまりの季節。
 ところで西瓜も秋海棠も日本古来の植物ではない。江戸時代初期に渡来した。秋海棠(ベゴニア)は寛永年間(1630年代)に中国から、アフリカ原産の西瓜も慶安年間(1650年代) に中国から帰化した植物だと言われている。歴史を知らずにこの句を詠めば、何の変哲もない句だが、実はこの句の作られた1690年頃には未だ市井には定着していない二つの植物名を上げているので、句そのものが非常に斬新でハイカラなものであったことを忘れてはならないのである。