芭蕉db

衰ひや歯に喰ひ当てし海苔の砂

(己が光)

(おとろいや はにくいあてし のりのすな)

噛み当つる身のおとろひや海苔の砂

(西の雲)

(かみあつる みのおとろいや のりのすな)

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 元禄4年作。48歳。

衰ひや歯に喰ひ当てし海苔の砂

 普段意識していない老も、ふとした出来事で気づかされれる。筆者の個人的体験でもそうである。平気でまたいでいたドブ板がまたげなかったり、通いなれた駅の階段で息が切れたり。ここでは海苔の中に混じっていた砂が歯にしみてちょっとした痛みが走ったかもしれない。歯周病の現れなのだが。