芭蕉db

       閏5月11日雪芝宅歌仙一巻

涼しさや直に野松の枝の形

(蕉翁全伝)

(すずしさや すぐにのまつの えだのなり)

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 元禄7年5月11日。伊賀上野の雪芝亭にて。『蕉翁全伝』には、「此の句は閏5月11日の夜、雪芝亭に遊びて、庭の松の物好きもなく植ゑたるを興ぜられしなり。」とあることから句の解釈が可能になる。

涼しさや直に野松の枝の形

 この家の庭の松は、無理に曲をつけたわけでもなく、枝ぶりはまっすぐに伸びた自然のままでなんとも好感が持てる。それがこの庭の涼しさを一層引き立てているようだ。
 雪芝に対する挨拶吟。この折、雪芝亭ではこの松を植えたばかりだったようである。その植栽記念に芭蕉を招いたのかもしれない。


雪芝宅での芭蕉と松の木(「芭蕉翁絵詞伝」(義仲寺蔵))