芭蕉db
  田家にありて

麦飯にやつるる恋か猫の妻

(猿蓑)

(むぎめしに やつるるこいか ねこのつま)

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 元禄4年、48歳。

麦飯にやつるる恋か猫の妻

 鄙びた田舎の雌猫が主人公。普段麦飯しか食べさせてもらえないので大いにやつれているのだが、恋の季節ともなると食欲を失ってなお一層やつれてしまう。やつれていても恋をする猫のけなげさを冷やかしている。


群馬県前橋市三河 正幸寺境内の句碑(牛久市森田武さん提供)
『諸国翁墳記』に「里塚 上野前橋正幸寺ニアリ 喝祖坊素輪建立 麥めしにやつるゝ戀や里の猫」とある。(高野義則さん提供)