芭蕉db
八月十五日

今宵誰吉野の月も十六里

(笈日記)

(こよいたれ よしののつきも じゅうろくり)

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 元禄7年八月十五夜、51歳。伊賀上野「無名庵」にて月見の宴を催した折の句。このときの句には、他に「名月の花かと見えて綿畠」、「名月に麓の霧や田の曇り」がある。

今宵誰吉野の月も十六里

 今夜は仲秋の名月の夜。今ごろ吉野ではこの月を誰が愛でていることであろう。ここ伊賀上野から吉野まではたったの16里の道のりだ。
『新古今集』頼政の歌
今宵誰薦<すず>吹く風を身にしみて吉野の嶽の月を見るらむ」が背景にある。