芭蕉db

消炭に薪割る音かをのの奥

(続深川集)

(けしずみや まきわるおとか おののおく)

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 延宝8年、芭蕉37歳の作。この年17句が記録されている。一句は『芭蕉翁真蹟拾遺』に「冬月江上に居を移して、寒を侘ぶる茅舍の三句」の二句として掲出。これが正しいとすれば、この句は江戸で京都の小野の里を想像して作ったこととなる。

消炭に薪割る音かをのの奥

 京都の小野の里ではあの名高い炭を作るために今頃はマキワリの斧の音がしていることであろう。薪は真木に斧は小野に掛ける。
 京都の小野の里は茶の湯に使う白炭の産地であって、消し炭ではない。消し炭というのは一度使った墨を火消し壺にい入れて消火したものを再度使う中古の炭のこと。