芭蕉db
   田家に春の暮を侘ぶ

入逢の鐘もきこえず春の暮

(真蹟色紙)

(いりあいの かねもきこえず はるのくれ)

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 元禄2年3月29日、栃木県鹿沼市。『奥の細道』旅の途中。高久の門人覚左衛門に与えた真蹟の色紙。「鐘撞かぬ里は何をか春の暮」の別案かもしれない。

入逢の鐘もきこえず春の暮

 能因法師の歌「山里の春の夕ぐれ来てみれば入相の鐘に花ぞ散りけり」(『新古今和歌集』)にあるように、春の夕暮れといえば入相の鐘が必要だが、この村では鐘は撞かれないらしい