芭蕉db
元禄二仲春、とう山旅店にて
かげろふの我が肩に立つ紙子かな
(真蹟歌仙巻一)
(かげろうの わがかたにたつ かみこかな)
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『奥の細道』出発直前の元禄2年2月7日。とう山(とうは口偏に荅)は、大垣の木因門下の俳人。彼が泊っている旅宿で開かれた曾良・此筋等を交えた七吟歌仙の発句。
かげろふの我が肩に立つ紙子かな
紙子は防寒着でもある。春の訪れを知らないで何時までも着ていたら、なんと自分の肩に陽炎が立っている。ようやくこれを脱ぎ捨てることのできる春がきた。さあ、「春立てる霞の空に白河の関を越え」る旅に出発するのだ。
『奥の細道』の旅に出る前の奮い立つような季節感をにじませている。
愛知県豊川市八幡町西明寺門前の句碑、ここにある理由は分からない(牛久市森田武さん提供)