芭蕉db

冬庭や月もいとなる虫の吟

(蕉翁全伝)

(ふゆにわや つきもいとなる むしのぎん)

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 元禄2年初冬。『奥の細道』を終えて伊賀上野の晩秋。半残主催の興行で一入<いちにゅう>という者の亭で詠んだと言われている。一入は来歴不詳。

冬庭や月もいとなる虫の吟

 初冬の庭、急に冷え込んできて虫の音ももはやか細い。月は糸のように細く、暗くこの庭を照らしている。上弦の月の弦を糸と音にかけたのであろうが、少し錯綜してまとまりを欠く。