芭蕉db
   涼み

夕顔や秋はいろいろの瓢哉

(真蹟懐紙写/阿羅野)

(ゆうがおや あきはいろいろ ふくべかな)

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 元禄元年夏。大津の苗村采陀?宅での挨拶吟。この年の秋とする説もある。夏とすれば、瓢は見えず、秋とすれば夕顔の花は無いことになる。解釈も二つに取れるところから、古来、解釈が定まっていない。

夕顔や秋はいろいろの瓢哉

 夕顔は夏の夕方から夜に白い大輪の花をつける熱帯原産のウリ科の一年草。花後大きな球形または楕円形の実をつける。これを瓢<ふくべ>という。瓢は乾燥して様々な容器や飾りにしたり、初秋に干ぴょうに加工したりする。
 一句は、これを夏に詠んだとすれば、こんなにきれいに咲いている夕顔だが、これでいて秋になればあのちょっとひょうきんな瓢になるのだ、の意となる。
 また、秋に詠んだとすれば、この不思議な格好の瓢だが、これでも夏の夜に妖艶な美しさを発揮した夕顔だったのだ、の意となる。


滋賀県長浜市今町姉川畔の句碑。牛久市森田武さん提供