芭蕉db
   勢田の蛍見

蛍見や船頭酔うておぼつかな

(猿蓑)

(ほたるみや せんどうようて おぼつかな)

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 元禄3年。近江の瀬田の蛍見の夜。この時代、瀬田の唐橋付近で蛍見の舟がサービスされており、酒を飲みながら蛍の光の水面に映るのを見て楽しんだという。

蛍見や船頭酔うておぼつかな

 瀬田川に映る蛍の光の美しさはたとえようもないが、船頭が酔って船が揺れるのはなんとも覚束ない。にぎやかな蛍見舟のにぎやかさと楽しさがはずんで伝わってくる。
 なお、同じ情景を同時に詠んだ凡兆の句に「
闇の夜や子供泣き出す蛍舟」(『猿蓑』)がある。