芭蕉db
   花見

木のもとに汁も膾も桜かな

(ひさご)

(きのもとに しるもなますも さくらかな)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 元禄3年3月2日、伊賀上野風麦亭での花見の歌仙の発句 。この句は、土芳の『三冊子』に「軽み」を発見した句とする記述がある。

木のもとに汁も膾も桜かな

 桜の木の下で花見をしていると、そこに花びらがしず心なく散ってきて、おかげで汁椀といわずナマスといわず花びらで一杯になってしまう。なんと豊かな花の一日であろうか。「汁も膾も」は何から何まで、何もかもという意味の慣用句であった。


大津市戒琳庵の句碑。牛久市森田武さん提供