芭蕉db

恵比須講酢売に袴着せにけり

(続猿蓑)

(えびすこう すうりにはかま きせにけり)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 元禄6年10月20日。

恵比須講酢売に袴着せにけり

 恵比須講は商売繁盛のお祭だが、そもそもは出秋の収穫が終わって百姓に何がしかの収入がありこれを街場の商人が懐をねらって商いをする冬物一斉セールである。庶民からすれば冬支度のショッピングのよい機会でもあり、娯楽の機会でもあった。
 一句は、恵比須講というので、ふだんは汚い着物を着て売りに来る酢売りも袴を着させられて商売していることよ。着慣れないものを着ている貧相な行商人の姿が浮かんでくる「軽み」の句。
 なお、恵美須講については、他に「振売の雁あはれなり恵美須講」がある。