芭蕉db

杜若われに発句の思ひあり

(俳諧千鳥掛)

(かきつばた われにほっくの おもいあり)

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 貞亨2年4月4日。『野ざらし紀行』で鳴海の知足亭で歌仙興行(知足・桐葉・叩端の4人)。ここには、その昔「八つ橋」があった。『伊勢物語』の「唐衣着つつなれにしつましあればはるばる来ぬる旅をしぞおもふ」の歌は、ここが発祥。前五の「かきつばた」は、業平の歌が意識されていると思われる。

杜若われに発句の思ひあり

 知足亭の庭にはカキツバタが満開だ。さて、私はこれを題材に一句吟ずるとしよう。あの『伊勢物語』にもあやかって。自信をうかがわせる勢いのある句。


知立市八橋無量寿寺の句碑(牛久市森田武さん提供)